rough-seven-angels、守護天使たち

はじめに

ブログやSNSなどで多くのイイネやリツイートありがとうございます。

今のところ、たまのストーリーボードっぽいものでの展開になりそうですが、段々と絵数も増えてきました。そろそろ自分が設定とか弩忘れしないためにも備忘録を兼ね世界設定を記しておこうと思います。

まずは走り書きで、後日修正していければ的な感じですかね。

あと、よく自分は説明文でカッコを多用する癖があるので、それらはなるべく避けて、紋切型もんぎりがたで書くのをこころがけます(収集つかなくなるので)←こういうやつれす

概要

これは”なぜ天使に翼があるか”の物語。

今より遠く遥か彼方の時代、大空に鳥のようにつばさを持つものたちが居た。

彼らは、天空に浮かぶ星々のように島々を空中に浮かべ、ときを操る力を持っていた。

彼らは、自らを『天使てんし』と呼び、地上に住むものたちを”不吉の象徴くろいつきのまつえい“として敬遠し蔑視していた。

この話は主に天使の話となる。

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時代と科学(背景)

21世紀の我々の時代の終り頃、”黒い月の禍くろいつきのわざわい“と呼ばれる大災厄だいさいやくによって、地球を回る月が破壊され、地上は大津波と嵐で覆われた。かつて地表を埋め尽くすかに見えた文明は、そのほとんどが海中へと没し、生き延びた人々は、災厄前から大きく変化した過酷な世界に適応するため、種の存続をかけあらゆる手を尽くした。急ぎすぎた科学による”事故”、多くの失敗と不幸の中から、一条の光が差し、それは後世の人類進化のいしずえとなった・・・。

永いときが流れ、大空には羽を持つ人類を祖先とする者たちが、人工の島を浮かべていた。災厄後の空に君臨しだした、巨大空中生物から身を守りながらも、彼らは空中都市と高度な文明を発展させていった。

いつからか空に住む者たちは、自らを「天使てんし」と呼ぶようになった。

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いまだ大津波に洗われ続ける地上では、天使とは別の進化を遂げたもうひとつの人類の末裔が居た。彼らは空に住む者たちから、地表にしがみつく者、地べたに這いつくばる者として、忌み嫌われ敬遠されていた。住みかである過去の遺跡の残骸をつか(墓や古墳)や寺社に例え、「塚守りつかもり」とか「杜使いもりつかい」と呼ばれ、過去を尊ばない天使たちからは単に災いの種とされていた。

大変化を遂げた惑星環境に適応するため、何世代もかけ変容を遂げてきた人類の末裔達が、天と地に別れ存在し、それぞれが独自の文化を持ち、大海原にはかつての巨大建造物の名残と、遺伝子操作により繁茂した高さ数百メートルの巨木が石化した残骸が点在する。そんな異様な姿が、この時代の日常的な光景だ。満潮時には石化した巨木の上にわずかに残る緑が海に浮かぶ小島のようだ。地上に住む者たちはこの石化巨木を神殿とし、その周辺に存在しているという。

この時代の科学は、「黒い月の禍くろいつきのわざわい」により重力や引力(gravity force : グラビティフォース)を扱うことに長けている。一般的に巨大な災厄は文明に発展をもたらすとされるが、もっともそれは克服し生き延びた文明があってこそであることは言うまでもない。災厄を生き延び、重力と引力のバランスを欠いた地球環境への適応を果たした人類は、前時代に既に、高度なグラビティを操る技術を獲得していた。

大空に活路を見出した人類の末裔である「天使てんし」たちは、人工島を空中に浮かべるため、中央に中枢機能を持ち同心円上に衛星のように複数の人工島が周回する「軌道都市きどうとし」を建造した。

一方で、地上に残ったもうひとつの人類を子孫とする種族は、惑星そのもののグラビティを操る技術を発展させていった。惑星をコントロールし潮位を操ろうという挑戦も彼らによるものである。

また、グラビティフォースコントロールの発達の過程で発明されたものには、時間遡上じかんそじょうがあり、これは我々の時代で俗に言うタイムマシーンである。

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この時代の文明では、時間じかん遡上そじょうにより発生するパラレルワードが時間弾性により融合し、それによって起こる二重記憶や、それらに付随する事象の結果が「行為の当然の帰結」(作用に対する反作用)であるという認識がある。一般的に文化面・精神衛生面から、”時空間のパラレル化はよろしくないこと”、とされており、特に杜使いもりつかいの文化では、パラレル化で起きる現象を”時空間汚染”と呼び、時間じかん遡上そじょう(タイムマシンの使用)は立法・宗教で管理されており、評議会の承認なしでは許されないものとされている。

天使(てんし)

黒い月の禍くろいつきのわざわい(※1)」以降、水没にみまわれた地上から逃れるように、空へと生存の場所を変えた(※2)人類の末裔。背中に羽を持ち、空中に浮かぶ人工の陸地「島」(空中に浮かぶ陸地)に住んでいる。

遥か遠いが祖先は人間である。同胞意識が非常に強く、個人主義で短気なようである。集団から個を考える思想というよりは、個それぞれが集団について考える傾向にある文化を持つようだ。個人差はあるものの、総じてグラビティ(重力・引力)を操る能力により、空中を浮遊・飛翔することができる。同エネルギーを利用する時間遡上についても同様である。個々の魂の力に重きを置く文化をもち、天使という呼称の由来は太古の壁画にあったものからとったものを、自ら好んで使用したと言われる。寿命は数百年を超えるといわれる。

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(※1)黒い月とは遥か未来から時間を遡上してきた負の質量を持つ天体であるといわれている。

(※2)天使が生まれた過程と時間遡上には密接な関係があるといわれている。時間遡上が発見されてまもない頃、時間弾性理論の発案者によりある実験が行われたという。実験では巨大な箱を設け、中に鳥とヒトを住まわせた、そして最初にヒトを殺し鳥だけを残した、次に時間を遡上させ鳥だけを殺しヒトを残した。ヒトがいて鳥がいない箱と、鳥がいてヒトがいない箱の2つの時間軸ができた、この複数の時間軸は時間弾性の法則で述べられた通りに融合した。幾つかの実験では鳥でもヒトでもあるものが具象化していたといい、これが天使のになったといわれている。

軌道都市(きどうとし)

天使の住む空中都市。中央に中枢を持ち、周回する衛星都市を持つ構造で、中央を第1区と呼び、外周に向けて第9区まで存在する。個々の浮遊する島は常に一定の軌道を周回しており、高度を変化させることはあってもほぼ一定の軌道を移動している。この都市の軌道運動により生まれるエネルギーが、彼らの生活と文明の発展を支えている。

最も外周の第9区は、巨大空中生物から軌道都市全体を守るため、優れた防衛機能を備えており、かなりのスピードで機動上を移動している。

天使たちは、巨大空中生物をトビヲ(翔尾)と呼び恐れている。各地区には、トビヲから軌道都市を守るために武装した組織がある。特に軌道都市防衛の要である第九区守護分隊は、最強の装備を保持する守護分隊として、特に腕っぷしに自信のある天使達にとっては憧れの的である。

※その他、軌道都市についてはこちら

トビヲ(巨大空中生物)

災厄後の空に急速に数を増していった、天使の天敵となる空中生物の総称。

大洋のいずこかで大量に羽化発生し、共食いを繰り返すことで急速に巨大化するといわれる。一旦、巨大化した個体とその群れは、天使もろとも島ごと喰い尽くすという。

その形状は定まらず、文献では多種多様なトビヲの姿が登場する。天使たちは自らの天敵となる空中生物を、総じて「トビヲ」と呼んでいる。生物の分類学的には幾つかの生物の総称となるだろう。

トビヲの羽化直後の個体は、ヒトの頭骸骨が複数結合されたような不気味な形状を持ち、羽は無く8本あまりの足で、より大きな個体を宿主にし捕まり、その肉を喰らって育つという。

トビヲの名の由来は「憎悪ぞうお」が省略され、「トブヲ」から「トビヲ」となったといわれている。また、且つての地上の海にいた飛魚とびうおに似ていることからだとも。

凶暴で突進してくる性質のため、その研究は困難を極める。天使の輪の機能のひとつであるテレパシー機能でトビヲの「声」を聞いたとする者もいるが、それが鳴き声であったのかデバイスのノイズなのか、また本当に意志があって会話をするのかを確かめる術はない。

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※その他、トビヲについてはこちら

天使の輪(てんしのわ)

天使の輪てんしのわ、またはリング、デバイスなどと呼称される。天使たちが頭上につけて使用する輪っか。

光るさまを”ヘイロー”とも言う。ヘイローは天使の輪が起動中に放つ光を指すこともあることから、ここでは主に天使の輪てんしのわ、またはリングと記す。

リングは装着者の周囲のグラビティフォースをコントロールする装置として開発された、後にリングには様々は機能が装備され、記録や通話やToDoリストなど、さながら我々現代人のスマートフォンのようである。これを忘れて出かけても平気な天使は、よほど図太い者だけのようである。なお、タイムマシーン機能は主に守護分隊兵士の持つ特殊なリングにのみ装備される機能である。

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※テレパシー機能のほか、ToDo機能や3分間タイムマシーン機能も持っている、スマートタッチ版が主流となっているが、堅牢な物理ボタン版も根強い人気とのこと。

時間遡上(じかんそじょう)

時間遡上じかんそじょうは、グラビティフォースコントロールの発達の過程で発明された。
天使の輪リングにも、この機能は搭載されている。
リングに記録されている軌跡のいずれかのポイントへ向け、装着者が”キック”することで移動する。リングと装着者のグラビティバランスが大きく関与することから、装着して記録したいずれかのポイントへの移動だけが可能である。そのため装着者(とリング)が、以前に存在していた時空間以外には移動できない。彼らがタイムワープと呼ばずに「遡上そじょう」と呼ぶ所以ゆえんだ。

天使たちは、この遡上のときの行動を「キック」とも呼ぶ。キックは誰しもができるわけではなく、特定の才能やそれに勝る修練が必要なため、一般での利用はされることは少なく、主に守護分隊での防衛の最後の手段として使われている。遡上をスタートさせるキック(時空間をパラレル化する行為、またそれを許容する力)には、魂のパワーが必要だといわれる。天使達の時間遡上じかんそじょうに限って言えば、一対の魂とリングが遡上を行う基本的な構成要素となる。

時間遡上じかんそじょうを行った際、時空間移動の前と後の世界では、異なった時空間がパラレル化して存在している。このとき時空間のエネルギー値は半分になり、非常に不安定な状態となる。時空間は安定状態に戻ろうとするため、パラレル化した空間同士は急速に収束しようとする。この力はパラレル化した時点に近いほど大きいことから、遡上時間が短ければ短いほど収束しようとする力が大きい、これを時間弾性じかんだんせいの法則と呼んでいる。

遡上に必要な情報は、時空間全体を再構成できるだけの連続したデータであり、そもそも膨大であることから、天使が装着するリングのサイズだと数分あまりの記録ができるだけである。つまり、それが彼らの時間遡上じかんそじょうの限界である。さながら数分しか記録できないドライブレコーダーを、上書きし続けながら使用しているようなものである。

また、遡上に関する理論や用いる機械マシーンの違いにより、天使たちに可能な時間遡上じかんそじょうはかなり短く、杜使いもりつかいの時間遡上はかなり長い。天使と杜使い其々それぞれの、時間遡上じかんそじょうへの考え方や使い方の違いについては、後述に別項を設けるが、端的に言うと、記録型が天使のそれであり、杜使いのそれは解析型である。

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天使たちの時間遡上

天使たちが使う「天使の輪リング」による時間遡上じかんそじょうは、一般的に数秒から数分前にしかさかのぼることができない。
もちろん出発点より未来へは行けない。
瞬間(ちょっとの間)を遡(さかのぼ)ることができるだけである。

天使たちが、対トビヲ戦で行う短時間の時間遡上じかんそじょうでは、瞬間的に発生するパラレルワールドが、時間弾性じかんだんせいにより急速に元通りに戻ろうとするときの、物理的現象を確認できる。

例えば、ある天使がトビヲの攻撃で死んだ瞬間に、仲間の天使が時間を数分戻して攻撃を防いだとする、すると”仲間が死んだ場合の世界”と、”死んでいない場合の世界”がパラレルで存在するようになる。時間弾性の法則により、急速にパラレル化は再統合しようとした結果、融合した直後の時間では、”死んだ記憶と生き延びた記憶を持った天使”か、もしくは”生き延びた記憶を持った死んだ天使”のいずれかが、存在する世界となる。いずれに帰結するかは、物理的な整合性と動的な関わりに起因することとなることは、その他多くの物理学と同様である。そのため、一般的には、この場合、”死んだ記憶と生き延びた記憶を持った天使”、が存在する世界となる。

天使の時間遡上

天使の間で、対トビヲ戦を闘い抜いてきた者たちを英雄視する理由は、この複数回の”死の経験”に起因している。

時間遡上を行っても、攻撃を防ぐことに失敗すれば、仲間を救えるどころか、無闇に時間遡上を繰り返し、何度も死なせることだけとなる。大抵の者は、精神崩壊し脱落者となるか、実際に死ぬかで、生き延びて死の体験に慣れ、且つ友の救出を信じ続けることができる者は稀だ。

遡上によるパラレル化と統合の繰り返しによって生まれる身体的変化や障害は多岐にわたり、その中でも初期の障害として認められやすい独特の紋様もんようあざ遡上痕そじょうこんと呼ばれる。

下記は天使たちの間で語られる小噺である、時間遡上について分かりやすいショートショート(小説)であるため、ここに掲載しておく。

杜使い(もりつかい)

水没した世界で、大樹と共に生きることを選択した種族である。天使と同じく、祖先は人類であるが、意識が集合化されており単一の意志は乏しい。集団での生存に重きをおき、種全体の生存に特化した文化を持っている。天使たちの文化とは相容れない世界観と立法化された社会構造を持ち、その文明・文化・容姿の違いから、天使の文明とは干渉しあうことなく独自の発展を遂げている。

杜使いもりつかい」という呼び名は、天使たちが名付けたものであり、自らをそう呼称しているわけではない。過去の遺跡周辺に巣くうことから、遺跡を墓所ぼしょにたとえ「塚守つかもり」(※塚は墓の意)と呼ばれていたものが、ツカモリ→モリツカ→モリツカイへと転じたとと言われる。

他文明に対して姿を見せることが稀なため、容姿は想像の域を出ない。

その姿を知る者は、辺境天使のみである。(辺境天使とは、軌道都市の外周に自らの島を有し、飛空挺を使い下界と天使との間で交易を生業とする者達である。中央都市の住む天使達からは、災いの主と差別される杜使い同様、蔑視の対象となっている。彼らについては、物語の中で説明することとなると思う。)

天使の文化が「動け、与えよ」であるのに対し、杜使いのそれは強いて言えば「忍べ、耐えよ」である。

多くの謎につつまれた存在である・・・

※その他、杜使いについてはこちら

(参:時間遡上

石化した世界樹

大空に巨大空中生物が現れだした頃、地表には世界樹と呼ばれる巨大樹木が多く繁茂した。(侵食され続ける大地を守るべく遺伝子操作された植物群であったが、その努力は虚しくその殆どは、大海原にその亡骸が墓標のようにそそり立っているのみである。)
巨大化したのち石化したいくつかの石化巨木は、杜使いたちの神殿になっており、さながら海に聳え立つ巨大なビルディングである。干潮時になり干潟が現れると、石化巨木の根本周辺には、球体(バルーン状)の建造物が無数の卵のように見ることができる。これらは、杜使いたちのライブラリーで、過去の遺跡が保管されている。

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杜使いの時間遡上

時間遡上じかんそじょうには、彼ら独自のタイムマシンを使う。彼らの文化では、時間遡上じかんそじょうは”よろしくないこと”とされており、遡上を行うのは、彼ら(全体)が世界(おそらく地球や太陽系など惑星系としての範囲のことだと思われる)にとって、それ(遡上)が重要である、と結論づけられたときだけである。

タイムマシンの使用には、協議を行う必要があり、協議では十分な時間遡上計画があることが前提となる。パラレル化による矛盾が起きにくいことや、もしパラレル化により矛盾が現象化する可能性がある場合は、十分な修復計画が用意されていること、また、遡上先が近すぎないことや、その他にもパイロットの健康状態など、総合的に判断するための永い議論を経てから、遡上が認められるのが常である。

マシンの機能として、”記録されている軌跡のいずれかにしか遡上できない”ところは、天使のそれと同じであるが、天使たちが「天使の輪リング」に記録したデータを利用するところを、過去の遺物や、地層(惑星そのものとも言われる)を解析し、膨大なデータを取り出し利用するところが異なる。「天使の遡上は記録型で、杜使いのそれは解析型だ」と言われる所以ゆえんだ。彼らの方式であれば、理論上は時空間データを再構築できれるポイントであれば、いつの時代へでも移動が可能だ。が、しかし、実際には、再構築に足るデータを収集できる場所は限られているようである。また、その理論から、勿論もちろん、未知の場所へ移動することもない。

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物語概略

あらすじ

要点のみざっくりと書いてます。徐々にストーリーボードとしてイラストなどを掲載していきますので、最終的にはイラストを元に、ストーリー漫画とかにもできたら良いなあと思っています。

(注釈:従来の時間を扱うSFなどでは、ある種タイムマシーンを夢の機械と位置づけ、選択のやり直しによって変化する未来を楽しむものが多かったかと思います。タイムパラドックスが発生したり、過去の自分と会うなとか、どうしても半ば無理やりなご都合主義で切り抜けることも必要でした。ガチギレ天使さんでは、新たな設定として時間弾性の法則を導入し、時間も自然の湖面に広がる波紋のように収束するものであると捉えています。また、タイムマシーンも現代の車やスマホのように、単なる道具として位置づけています。道具とは便利な反面、乱用によっては、危険や混乱が伴うものです。この物語では、選択のやり直しが、次の状態に並行して移行して統合して、そして続きます。選択のやり直しは、二回やったことの結果になります。従来のタイムマシーンSFに馴染みのある方には、違和感を感じることもあると思いますが、はてな?と思っていただければ成功です。この物語で描きたいことは、大切なのは選択の良し悪しではなく、どんな運命にあっても常に”姿勢”が大事なんだ、ということです。)

以下、あらすじの書き差しです。

実際にはストーリー漫画にする場合は、ネームに起こす時に一部時系列を入れ替えたり、テーマに沿ったお話に仕立て直すつもりです。以下は時系列に沿ったストーリーのあらましになります。

一.襲われた島(ガチギレの生い立ち)

(ガチギレ:本名ガイアナ、当時の愛称はガっちゃん)

幼いガチギレが住む島は、第九区のさらに外側に存在していた。
機動衛星都市の外側には、自由交易の拠点として小さな浮遊都市が点在している。
そのひとつにガチギレの生まれた島がある。

島には杜使いとの交流のある者もいることから、中央都市からは蔑視されているのが常である、そんな時代。父は商人で、母はかつては分隊兵士だったが、辺境で出会った父と恋仲となりガチギレが生まれたという。

幼いガチギレの住む島に、トビヲの群れがやってきたとき、真っ先に狙われたのは、父の大きな商船(飛空挺)であった。あっけなく粉砕された船は、瞬く間にトビヲの群れに無惨に食い荒らされ、それを合図とするかのように遠方からも、巨大なトビヲたちが次々に集まってきたという。

島の設備では、共食いを繰り返し巨大化した凶暴なトビヲを止める術はなく、トビヲらは島を呑み込む渦となり全てを食い尽くしたという。

第九区の守護分隊がかけつけた時には、生存者は幼いガチギレひとりしか、残っていなかったという。

その時、分隊兵士に助けられたガチギレには、母に助けられずにトビヲに四肢を食いちぎられて死んだ記憶と、母が自分の身代わりとなってガチギレを守りトビヲに食い殺された2つの記憶が残されていたという。

事のあらましはこうだ。母が幼いガチギレを連れて逃げる中、足の遅いガチギレをトビヲが攫って喰った。
元分隊兵士であった母は後悔し泣き崩れることよりも、リングによる時間遡上を行った。
時間遡上できるのは数分だけなうえに、以前に自分が居た地点以外へは移動できない。
母の選択は明確だった、自らが身代わりとなりガチギレを救えるその地点へ。

時間遡上によりパラレル化したふたつの空間には、“逃げ遅れ食い殺されたガチギレ”と、“母が犠牲となって代わりに救われたガチギレ”がいた。

救われた方のガチギレの目の前には、トビヲによって無惨に食い散らかされた母の亡骸があった。

時間弾性の法則により、パラレル化した空間は急速に収束し統合する。

統合した結果、そこに残されたのは、“トビヲから逃げ遅れ四肢を食いちぎられた痛みを記憶したまま、娘を守るためにトビヲに無惨に食い殺された母の亡骸を見つめる少女”だった。

救助にかけつけた第九区守護分隊の兵士が目にしたのは、そんな光景であった。
島で、たった一人の生き残りとなったガチギレを拾ったのは、第九区守護分隊の、若き英雄ビックだった。(彼は後に第六区守護分隊を率いるリーダーとなる。)
トビヲに襲われた島を幾度も経験してきた彼にとって、遅すぎた救助が生んだ悲劇であることは、火を見るよりも明らかだった。その凄惨な現場に居合わせた彼は、責任を感じ、この幼い孤児を連れ、自らの憧れであった第九区守護分隊を辞め、ガチギレのために安全な第六区の分隊へと移って行く。守護分隊には、「トビヲに親族を殺された者」「身寄りのない者」が、志願する資格が与えられる。ガチギレがのちに、これに志願することになったのは、まあ自然な成り行きであった。

※以下は抜粋で

二.ガチギレ誕生

第六区守護分隊でトビヲと闘い、その猪突猛進な攻撃姿勢から「ガチギレ」とのアダ名をもらう。ガチギレに信頼できる仲間ができた。

三.発明天使乱舞

第六区守護分隊には飛べない天使がいた。

彼女の名はDr.ハート

空は飛べないが、想像力の翼なら誰にも負けない。

四.ガチギレ・ハート

翔べない翼

ガチギレの親友であるハートの苦悩と、彼女も知らないその秘密。

ハートの見る不思議な夢

五.ビックの約束

ガチギレの母は第九区守護分隊時代、ビックの戦友だった。母は精鋭揃いの九区守護分隊の紅一点であった。その鋭い抜刀からカミソリユーリーと呼ばれていた。今もビックの机の上には、そのころの写真が置かれている。

ビックは過去との約束を果たそうとする。

六.戦士過去へ

天使の世界では御法度の、杜使いの力を借り長大な時間遡上に、命運をかけるビック。
彼は自らの命を捨て、ガチギレを、その故郷を救おうとする。
トビヲ襲撃前へと時間遡上したビック。
厳戒態勢の第九区守護分隊での命令に反し、彼は単身で島へと向かう。島を全滅させたはずのトビヲを迎え撃つつもりだ。

結局、巨大トビヲと刺し違え絶命した彼は島の伝説となった。

七.もうひとつの歴史

故郷を失わなかったガイアナ(ガチギレ)の住む世界。
トビヲによる全滅を逃れた島は発展をげ、島のはずれには、かつて島を守って死んだ戦士をたたえる巨大な天使像が、今もこの島を守護していた。

ガイアナは天使の学校へ通う普通の娘だ。
父も母も健在だ、小屋にはペットの仔馬のポニーもいる。
そんな平穏無事な時間に、もうひとつの時間軸が統合する。

ガイアナの時間とガチギレの時間が統合する。ガイアナの記憶の中に、ガチギレとビッグや共に過ごした仲間達との記憶がなだむ。しかし、この世界にはビッグはもういない。得た物と失った物の統合に涙するガイアナ。
(もうひとつの世界)関連のイラストはこちら→

八.統合する世界

ビックの長大な時間遡上によって引き起こされた結末。

空飛ぶポニー(麒麟)、空飛ぶ狼男に猫娘。
ケンタウルスにサイクロプス。
嗚呼、彼方に見えるはエントのような者達は嘗ての杜使い達か。
なんてことだ、あの巨像までが・・・!!!
大混乱の中、友たち(他の時間軸の戦友)の今が気になるガイアナは、
麒麟と化したペットのポニーで、第六区へと天を駆ける。

第六区へと飛来したガイアナ、そこに「ガチギレ!」と懐かしい声が。テングだった。彼は幸いにして”記憶”と変わりない姿だった。彼によれば、国はこの事態を時空間汚染とし軌道都市全域に戒厳令が敷くため守護分隊に収集があったとのことだった。ガイアナが気にしたのはハート氏のことだった、「ハート氏は?!」

テングによるとハート氏を含め多くの者は、ふたつの世界でかなり異なる運命を送っていたようだった。融合によって異形の者に姿を変えた者も多いと聞く。(どんな時でも姿勢が変わらなかったガイアナとテングだけが、双方の世界で同じ状態を保っていたため、融合による影響が少なかったようだ)

もうひとつでの世界でのハート氏の訃報を聞き愕然とするガイアナ、ふと脳裏に、ハートが”守護分隊にいた世界”で彼女が飛べるように猛烈に特訓したあの丘が浮かぶ。ガチギレは丘へ向かった。

そこには懐かしい後ろ姿が。「ハート氏!?」

九.コントロールしようとする者達

18世紀、21世紀に現れたトビヲと天使。

それを影から操る杜使い達
トビヲの正体とは・・・。

過去へ飛ばされたガイアナと、そこで出会う少年とのときを越えた友情。
一際影の薄かった第六区守護分隊のグレイの正体って・・・。

十.ひとつひとつの世界と、統合し連続しつづける世界

天使と杜使いとトビヲ。パラレル化された世界と、その統合が断続的に起き続ける世界、神話さながらの光景が広がるこの世界で、真に大切なのものとは・・・。
統合に次ぐ統合の先にある、未来と過去の根本的な関係。
月と黒い月、そして我々の住む星の持つ”記憶”とは。

やり直しのきく世界で、皆が忘れていたもの、それはすごく単純なこと。
ガチギレはどんな境遇にあっても姿勢を変えません、くじけたり、あきらめたり、後悔ということをしません。
人は生きていく時、さまざまなことに想い悩むことがあります、しかし実は悩んでいるときこそ、逆境にあるときこそ、自分の姿勢が見えてきます。どんなにやり直したとしても、変わらないもの。実はそこだけは、変えない方がよかったりします。それこそがその人の魂のあり方だったりします。
そんなところが、この物語のテーマになってくるかと思います。

主な登場人物

ガチギレ (GACHI-GIRE)

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トビヲの群れに襲われた島で、家族を喰い殺された過去を持つ。分隊へ来た当初は、塞ぎがちであったが、自らと似た経験を持つ仲間達との交流で、次第に打ち解けることに。バーニアを装備したハイヒールマニューバでの、ドッグファイトを得意とする。トビヲ憎しで猪突猛進、ついたアダ名がガチギレさん。

※その他、ガチギレについてはこちら

ビック (Mr.Bick)

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第6区守護分隊のリーダーで、親分的存在なビックさん。考えるより先に、拳が出る肉体派、たまに天使リング忘れて闘っているが、まあ声が大きいから、リングのテレパシー使わなくてもコミュケーションとれてる模様。あと地獄耳。スタンドプレーのガチギレさんに胃を痛める日々。

※その他、ビックについてはこちら

テング (TENGU)

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第6区守護分隊で、主に後方からの掩護射撃を得意とするテングさん。額につけているスナイパースコープは、リングとガトリングニードルガンとリンクしていて、まさに百発百中。ニードル弾は、後にハート博士が発明する時間遡上弾丸に換装されることになるが、これは初期のニードル弾丸仕様。でかいガタイにハイソールを履いていますが、ガチギレのバーニアソールとは異なり、バーニアも無くどっちかっていうと、安定した射撃をするためのオモシ(重し)です、通称鉄下駄。

※その他、テングについてはこちら

ハート (Dr.HART = HEART)

rougth-hart-fight

紫色の髪に可愛い風貌ですが、立派な天使の国の博士。羽が小さく、皆のように飛べないけれど、発明の翼は誰にも負けないの✨今日も発明品で闘います!バリバリドーン!
口癖は「ごめんなさい!」
ハート博士の研究室では、猫天使のシューちゃんを飼ってます。いろいろと謎のあるお方。
ガチギレは「ハートちゃん」と呼んでいます。

※その他、ハートについてはこちら

グレイ (GREY)

rougth-grey-fight

灰色の羽をもつ天使、グレイくん。落下スピードを最大限に活かしてブッタ斬る、彼に斬れないものは無いといわれる。灰色の羽は、空では見えにくいうえ、スピードのある飛びっぷりで、さながら空の忍者。
なお、隊員によって、彼の昔の記憶が異なるのは、時間遡上によるものらしいです。

※その他、グレイについてはこちら

マァム (Mom)

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第6区守護分隊の総責任者です。隊員からは、親しみと敬意をもって、マァムと呼ばれています。
「ワシも若い頃は、ガチギレに似てナイスバディじゃった」とジブンではゆっています。
まぁ、いろいろと癖のある人です。

※その他、マァムについてはこちら

ドローン (DRONE)

rougth-drone-fight

ドローンです、メカです。
主な役割は、前線への物資補給で、大量の矢や弾薬を運ぶため、かなりの飛翔能力を持っています。
ハート博士によって、自律思考(AI)を装備されて、カタコトの言葉も喋ります。
ただ、たまに発するジョークは、空気を読めないため、隊員からの評価は賛否ありです。

※その他、ドローンについてはこちら

漫画化

ネーム(ネームとはコマ割りをしたラフ書きのことです)は下記です。

第1章〜第5章でひとつのお話とする予定でいます。

こちらに漫画の制作過程も公開しています。

イラスト集

ギャラリーに各イラストをアップしています

リンク

 ※X(エックス)のアカウントは、日常用、イラスト用共に閉じました。

リンクはご自由にどうぞ、許可や報告は不要です。

↑リンク用バナーです、必要に応じてご利用ください↑

あとがき、と、これから

※これら世界観はフィクションです、いちおう※

このような書きさしのページを、最後まで読んでくださり有難うございます。
たまにだけど、更新していくので、機会があったらまたのぞいてみてください。

gachigire-in-tokyo-21st-Century

こ、ここどこ?
(天使の輪の誤作動で迷子のガチギレ)

幼い頃に心に浮かんだ着想を、ふとした想いを、
そのまま、心の赴くままに・・・
完成やら目標やら考えることは、一旦傍に置いてみて・・・
身近で話を聞いてくれる人や、SNSのフォロワーさんや、自分自身と共に、
想うままに、気ままに、素直に手を動かしてみよう。

そんなことを、2023年の元旦に想い、
気がついたら、多くの楽しい時間と、
イラストとコメント、いいねがありました、
ほんとうにありがとう。


本業の傍らなので、どこまで広がるのか、どこまでいくのかもわかりませんが、
ゆっくりとですが、しばらくこのまま歩いてみようかとおもいます
m(_ _)mペコリ(ティー)