[漫画] 天使のわすれもの『大空の侵略者』のネームシナリオです。シナリオのためセリフと状況説明のみです。小説ではありませんので、基本的に実際のシーンで描かれる描写のみを記載しています。
ペン入れ前にはネーム(下描き)を公開する予定です。このブログでは現在描いている漫画やイラストの制作過程をできる限り公開していきます。
※この原稿は第二校で修正途中です、初校はこちらです 。
表記ルール
- ナレーションは四角囲みに入る文
- 「 」はふきだしに入る文
- 冒頭に三文字分の空白のある行は状況説明、ト書き文
- ( )は補足
目次
第1幕「大空」
[襲来]
ナレーション「遥か遠い時代、人は空に住み、」
「そして、闘っていた。」
翼を広げ大空をかなりのスピードで飛翔する天使。
その背後に巨大な羽を持つ魚のような怪物が迫る。
天使は強力な弓で武装しており、怪物の突撃を蛇行し回避しながら、反撃を繰り返している。
(天使の名はガイアナ、通称『ガチギレ』)
(迫りくる巨大な魚のような生き物は翔尾『トビヲ』)
(この時代の空には、天使とそれを喰う翔尾がいる)
ガチギレ「なぜ、こんな」
「都市の近くにトビヲがっ」
巨大な羽を持つ魚のような怪物、天使はそれをトビヲと呼んだ。
トビヲの体表面には、無数の小さい異形の者たちが這い回り、近づく者に容赦なく飛びかかる
ガチギレは素早く回避行動をとりながら矢を放ち続けるが、相手の数が多い。
こんなものが街に入ったら大変なことになると応戦するも苦戦中
目深に被ったフードから少女の顔がのぞく
ガチギレ「くっ!」
「多すぎるっ」
雲に入り、視界が悪くなる
トビヲ「ギャアギャアギャア」
叫びとも囁きともつかないな不気味な声が聞こえてくる
トビヲ「テン・・・シ・・」
「クウ・・・テン・・シ・・・」
こもったような空恐ろしい声。
思考に働きかけてくるものなのか、
恐怖が彼らの鳴き声をそう聞こえさせるのか
トビヲ「ギャアギャアギャア」
「テン・・・シ・・クウ」
「・・・天使・・・喰う・・」
襲いかかる異形のものたちを振り払うのに必死な天使ガチギレ
ガチギレ「こ、このッ!」
フッと雲を抜けた、眼下に船が見える
ガチギレ「!」
眼下に商人達の飛行船がみえる、
船へもう1匹の大きなトビヲが今にも追いつこうとしている
ガチギレ「あの船っ!」
(トビヲたちは飛行船を追っていた)
船は船体を傾け回避行動をとっているが到底逃げきれそうにない
焦り憤るガチギレ
ガチギレ「間に合わないっ」
(見開き構図:中央に襲われている船、左上部は奥にいる巨大トビヲ、右下部に手前の巨大トビヲ)
船を挟むように巨大なトビヲ2体。
その巨大なトビヲの体表には、無数の異形のものたちが這い回っている、小さなトビヲの幼体だ。
幼体の大きさや姿は人に似た奇怪な姿をしており、背に虫の羽のようなものが複数枚ある。
足の間接は反対に曲がっている、不気味で気持ちの悪い容姿
船の音「グォオオオオオン」
「オン オン オン オン」
トビヲ幼体「ギャアギャアギャア」
先ほどの怪音の一部はこいつらだ。
隣のトビヲを食い散らかし、周囲に喰えるものがないかギョロギョロしている。
『悪魔』そう言ってしまえば分かりやすい生き物
船体を食い破られ墜落していく船。
引き裂かれた船の間を飛ぶガチギレ。
何かを探し回るかのように船を貪るように食い散らかすトビヲ。
怪物の群れは全体がひとつの生き物のように、黒い螺旋となって船の残骸を呑み込んでいく
トビヲ「テン・・・シ・・クウ・・・テン・・」
トビヲ幼体「ギャアギャアギャア」
声ともつかない怪音
スッ!
ガチギレが頭上のリングに手を添える
ガチギレ「遡上!!」
粉々にされる船の間を飛びながら、
呪文のような言葉を叫ぶガチギレ。
ナレーション「空を守る守護分隊兵士が、刻を遡るときに発する呪文。」
「彼らは少しだけ時間を遡って対処することができるのだ。」
リングが輝きを増し周囲をつつみ込む。
真っ逆さまに飛び続けるガチギレは閃光となり流れ星のように消えた
フッ!
[商船]
ナレーション「一刻前ー、」
先ほどのシーンで墜落させられた船がのんびりと飛んでいる。
(先ほどのシーンの、少し前の時間だ)
船のデッキ(甲板)でガタイの良い顎髭の男がロッキングチェアに揺られている。
この商船の船長だ。
商いで豪華な物を扱っているため、デッキ周辺は珍品や高価な調度品で溢れている。
足元には大きなゾウガメまでがいる、
趣味人なのだろう、じゃらじゃらと衣服には貴金属がぶら下げられており、商船の船長のわりには、その身なりはどこなく海賊ちっくだ
船長「フフ、フフフフ」
顎髭を撫でながら、テーブルに並ぶ高級な酒瓶たちを眺めニヤついた笑みをみせる船長
手にはとても高価そうなグラスを持っている
グラスには高級な酒がなみなみと揺れている
そのグラスは、上部が透き通ったクリスタルで、縁に金色の輪があしらわれている。
下部には蔦が絡みつくような紋様の銀食器のような風体をしており、綺麗ではあるがどこか不気味な雰囲気が漂っている。先ほどから上部の縁の金色の輪の部分が、誘うようにヌメヌメとキラキラ光っている
船長はそれを指で撫でている
音「キューッ キューッ ・・・」
金色の輪の縁に沿って撫でると、華奢で綺麗な高音が鳴る
船長「ゴクンッ!」
グラスに入った高級な酒を、惜しげもなく一気に飲み干した
船長「クゥー!フゥウウウ・・」
よほど美味いもの、高価なものなのだろう、
小刻みに肩を振るわせて笑っている。
顔が興奮し上気している、満足気な表情だ
足元のゾウガメが退屈そうに、のっそりのっそりと歩み去っていく。
もうずいぶんと長くこの船にいるのだといった雰囲気の亀、安定感のある雰囲気でゆっくり歩み去る
船長がグラスの縁にあるリングを撫でる
音「キューッ キューッ ・・・」
そして呪文のような言葉を呟いた
船長「遡上・・・。」
ススススッ
グラスを持つ光景がブレる。
グラスが二重に見える光景、残像の様
グラスの蔦の紋様が動いて見える、まるで魔法のグラスだ。
ブレが止まると、グラスには再び酒が満たされている
ゾウガメも船長の足元にもどっている
船長「フフ、フフフフ」
船長のニヤついた笑みに一人の船員が気づき寄ってくる
船員A「なんなんすか、嬉しそうに」
船員Aは船長がニヤついている理由が知りたくてたまらないといった感じだ。
「何か得になることはないか」いっつもそんなことを考えているタイプだ
船長「おまえ、その質問4度目」
船員A「はぁ・・・? お、おいらは今聞いたばかりですぜ?」
船長「フフフフ・・
これだよ、これ。
すまんな」
船長は自慢気にグラスを船員に見せながら
船長「さっきの港で、手に入れた、」
ほろ酔いで顔が赤い。
(構図:手前に船長。背景に先の港での光景。得たいの知れない相手から革ケースを手渡される船長、相手は長身で黒づくめで、とんがり帽子をかぶっている)
船長「『やり直しのグラス』だ。」
船長が船員に、先ほどから手に持っている唐草の紋様の入った高価なグラスをみせる。
先ほど飲み干したはずのグラスには、飲む前の酒が満たされている
ゴクン!!
また、飲み干した。
船長「・・・呑みすぎたなー、と、後悔したとする、」
船員にはおかまいなしに、勝手に独り言のように呟く船長
船長「そんなときは、リングをこう、擦(こす)りながら、」
キューッ
グラスの淵を擦る
船長「遡上・・・。」「と、つぶやく。」
船長からは船員や周囲がブレて見える
ブブンッ
船員目線、船長がブレて見えている
スススス
再び酒が戻る
船長「ほら、酒が。」
グラスを見せる。
船長「酒がもと通りだ!」
たしかに、飲み干したはずなのにグラスに酒がもどっている
船員A「なんなんすか、嬉しそうに」
船員Aが笑う船長に気づいて質問をしに寄ってくる
船長「おまえ、その質問5度目」
船員A「?」
船長「ワハハハハ」
亀が足元からのっそりのっそり歩み去っていく。
積荷を点検してまわっていたメガネをかけた船員Bが、
船長の高笑いに気づいて加わってきた。
時間遡上グラスについて談義をしている船員たち
船員B「ほぇー、すごいっすね!」
「つまり、酒が飲み放題?!」
「でもそれって・・・」
メガネの船員Bは船員Aよりは少しは頭がまわるのだろう、
遡上グラスの仕組みの裏を考えている面持ちだ
船員A「”遡上”と唱えると時間が戻って、」
「また呑んで、また”遡上”ってゆったら、」
「時間が戻ってって、それやったら・・・、」
「永遠に、酒が呑める!!」
船員Aは相変わらず自分の得できることにしか思いが至らない
船長「いや、それがな。」
「遡上ってつぶやいたら、呑む前に戻ってるからさ」
「飲んだ記憶は、な〜んとなくあるんだけど・・・」
船長一服置いて真剣に言う
船長「なんとなくなんだよ」
船員AとB「・・・・」
(構図:船長のアップの顔を真ん中に、左右に興味深々のふたりの船員の顔のアップ)
船長「”遡上”と唱えて時間を数秒遡った俺は、」
「今度はこの酒を呑まなかった。」
グラスの酒をくるくるしながら
船長「酒は”呑まなかった”ことになったわけで。」
「しばらくしたら、
あれ?呑んでないんじゃねって
なってくるんだ、これが。」
船員Aを見ながら
船長「おまえに俺、説明したの何回目だ?」
船員A「え?初めてですよ。」
船長「ほんとうにそうか?」
船員A「え・・・・あれ・・・?」
船員の視界がブレてぼやける
ブブブブ
船員A「あれれ・・・、」
「そうえばさっき船長に「それ2度目だ」って言われた気が・・・、」
「「おまえ5度目だぞ」って言われた気も、
あれ?どっちだっけ・・・」
船員Aが焦り出す
船員A「あれェ・・・?!お、おかしいな、
さっきは初めてだと思ったのに・・・、
こんな記憶なかったのに」
めちゃくちゃ焦り出す船員A
船長「呑んだ自分と呑まなかった自分が、
結局あとでくっついて、
呑んでて呑んでない自分になるんだな。」
「おまえは、聞いてなかった自分と
聞いてた自分がくっついたんだな。」
「酒は、飲まれていて飲まれてもない、不思議な液体に・・・」
船員A「な、なんか気持ち悪くなってきた・・・」
頭がついていかず具合が悪くなってきた船員A
船員A「さっきからの船長とした会話の記憶があやふやで、
なんだか頭がおかしくなりそう・・・」
船員B「船長が「遡上」と唱えたところまで
時間が経過したところで、
「呑んだ」時間軸と
「呑まない」時間軸が
統合したんすね」
合点がいったという船員B
船員B「喋った記憶も混ざってるから、ニーチェさんの記憶もぐっちゃぐっちゃになってるんだ」
船長「うーん・・・」
船員A「び、微妙なグラスっすね」
なんか得していない気分になってきてがっかりな二人
船員B「僕は二人の遡上の間も気づかずに、荷物を見てまわってたから、統合しても違和感がないんすね」
頭の良さそうな船員Bが、嬉しそうにまとめる。
この珍しいグラスを良く見ようと、メガネに手をあてながら興味深々
船長「時間遡上って・・・、『やり直しのグラス』って・・・、そういうことなのか」
船員A「「あ、この一杯を呑みすぎた!」って
いう時に使うって感じすかね・・・」
「なんか、もうマジ微妙っすね!」
船員Aがおもいっきりガッカリモードに入っている
船長「うーん、なんか嬉しさも半分になってきたなあ」
船員B「どのくらい遡れるんです?時間」
もうつまんなくなってきて何でそんなこと聞くんだと言う顔で船長が答える
船長「数秒かな」
船員A「ますます微妙っすね」
がっかりしている船長、遠くの空に光るものを見つける
船長「ん?」
キラッ!
彼方に何かが光った
船長A「なんだ?!」
船員B「鳥?」
みるみる間に近づいてくる天使ガチギレ
ギューン!!!
ダーン!!
甲板デッキに激突するように着地してきたガチギレ
船員たち「うわーっ!!」「ヒィっ!」
船が衝撃で揺れ、高価な調度品が落ちる
ガラガラガラ
船長の足元の床に『やり直しのグラス』がコロコロと転がる。
相変わらず妖気を漂わせた怪しい雰囲気のグラスだ。
亀はその場からノタノタと歩み去っていく
船長「な、なんだ貴様!」
突然の来訪者に気色ばむ船長と船員たち
船員A「しゅ、守護分隊・・・か?!」
ビビる船員Aの前に、険しい形相で甲板に仁王立ちのガチギレ。
先ほどの攻防での傷や汗が見える
シュウシュウシュウ
ガチギレの全身から湯気のようなものがでている、
腕に巻きついている小さな龍は船員たちへ怒りの感情を向けている
龍「シャアアアアア」
船員A「しゅ、守護分隊が、な、何のようだ!!」
ガチギレ「すぐに船を捨てろ、
この船は堕とされたッ!」
「命が惜しければ、直ぐに船から退避しろッ!!」
取り合うつもりはないとばかりに
命令口調でガチギレが言い放つ
ガチギレ「お前たちは一度死にかけ、これは二度目だ!」
龍がつけ加えるように言う
龍「ラッキーだったな」「再臨と思え」
シュウシュウシュウ
憤るガチギレの顔から全身に、痣のようなものが浮かんでいることに、ようやく船員たちが気付き怖気付く
船員B「そ、遡上痕・・・」
ナレーション「遡上痕とは、時間遡上を繰り返した際に浮き出る外傷である。重度となれば生命に危険を及ぼすこととなる。」
周囲の光景がブレだす
ブブブブブブブブブ
ガチギレ「刻が混じわり始めた」
事象の統合が始まった周囲を見回すガチギレ
船員B「トビヲに襲われて墜落した時間軸と・・・」
船員Bが一生懸命に状況を理解しようと考える
船員B「・・・今、逃げろと言われている時間軸、」
異なる時間軸の光景がブレて重なってくる
船員B「それが重なると・・・」
尋常な事ではないことだけは理解した船長が、顔に脂汗を滲ませる
船長が叫ぶ
船長「全員!退避ーッ!!」
船員Aが、頭をかかえながら、一目散にバタバタと逃げる準備をしだす。
他の船員も「退避、退避」と叫びながら逃げ出す準備をする
ガチギレの弓にいる龍がそれを眺めながらボソリと呟く
龍「恐怖と混乱は自分で乗り越えろ」
可笑しくもあり、愚かな人間たちだと多少嘲笑ってもいるような、そんな表情だ。
ガチギレはトビヲの来る方角をキッと睨みつけている
ダンッ
勢いよく飛び立つガチギレ
迫りくる巨大なトビヲ2体の方へものすごいスピードで向かう
ブレた風景。
別の時間軸での墜落していく商船とそれを襲うトビヲが重なり出す
船員A「ひ、ひぃいいい!!」
船員B「あ、頭、喰われかかった記憶がっ・・・」
「さっき喰われかかったのかっ」
船長「考えるな、今、目の前のことだけに、集中しろ!」
何をすればいいかだけは常に掴んでいる船長のようだ、
いちおうこの船員たちのリーダーを長くやってきたのだろう、そんな振る舞いだ。
ギュイイイイイン!
ガチギレが2体のトビヲの真っ只中へ突撃していく
ガチギレの周囲も統合により重なってきているはずだが微塵のブレもない、
ものすごい集中力
ビシュッ!!
バシュッ!
矢を1発ずつ2匹の大トビヲの目玉へ放ち、彼らの気をひいた。
自らを囮に船からトビヲを引き離す、
怒った大きなトビヲ2体は螺旋を描くように高速でガチギレを追う
宙返りでそれをかわしながら、片手で擲弾(てきだん)のようなものを矢の先に素早くねじ込むガチギレ
クリック
クリック
擲弾を付けた矢を撃つ姿勢をとるガチギレ
商船から救命ボート(ミニ飛行ボート)に乗って離脱した船員達は、遠くからそれを見ている
船員たち「あいつ、・・・」
(構図:ガチギレ正面からのアップ、弓に龍が絡みついている、龍も目標をしっかりと補足中)
龍が言う
龍「あのデッキのなにかだ」
ガチギレ(コク・・・)
ガチギレ、コクッと軽くうなずき、息を吸い込み船のデッキに照準を合わせている
船員たち「・・・、俺たちの船を」
バシュッ!!
ガチギレが擲弾付きの矢を船へ向かって放った
弾かれたように踵をかえし矢の方角へ向かうトビヲ
ドンッ!
矢が炸裂し、船のデッキ付近が大きく吹き飛んだ
船員たち「う、打ちやがった!」「俺たちの船をっ?!」「な、何をしやがる!!」
ドドーン・・・・
爆発する船
トビヲ「!!」
なにかに反応するトビヲ
散り散りバラバラになる高価な品々
(構図:落下物を下から上を見上げるようなカット。手前に落ちてくる『やり直しのグラス』、周りに高価な酒瓶や調度品や宝石などの品々。その向こうに吹き飛ばされた船。周囲には積荷が舞っている。右上あたりに小さくガチギレとトビヲ。左側に逃げ出した船員たちのボートが小さく見える)
龍「あそこだ」
龍目線、中央が大きく見える鷹のような目だ。
散乱する落下物の中に、キラキラ光る物体が見える
ガチギレ「光ってる」
「なんだろう・・・」
龍「なんでもいい」
「海へ墜とせっ」
ガチギレ「っだな」
くるりんと弓を構える
龍「風速4、右からだ」
龍が目標までの風の流れを読みガチギレにアドバイスする
(構図:中央に光る物体、少し右に鏃の先。右よりに照準を合わせる様子)
ビシュッ!!!
ガチギレ、矢を放った
(構図:擲弾付き鏃が手前、向こうにガチギレ。周囲に集中線)
ドーン!
擲弾がキラリ光った物体付近で炸裂する。
狂ったように爆炎の中へ飛び込んでいくトビヲ
なおも擲弾付きの矢を放つガチギレ
ドン!
ドン!
ドン!
爆炎が縦に並ぶ
落下していく
螺旋を描きながら爆炎を追いかけ落下していくトビヲ
ギャアアアオアオオオオオオアッ
海面が近づいてくる
海へ大きな飛沫を上げて突入するトビヲ
ドババーン!!
まるで海で大きな爆弾でも弾けたのかというような水柱が上がる
ゴボッ・・
ゴボゴボゴボゴボ
ギャアギャアギャアギャア
溺れながら沈んでいく2匹の大きいトビヲ、
巨体の羽は海面への衝突で折れ、衝撃で身体の一部も折れているようだ。
再度飛び立つことはできず、体表についている幼体もろとも海へ沈んでいく。
幼体は飛ぶ力が弱いのだろう、満足に飛び続けることができず、叫びながら溺れ沈んでいく
船員たち「・・・・」
この顛末を、ただ茫然と眺めるしかない船員たち。
船員A怖いことは苦手なようで、もう正直しょんべんちびりそうな状態だったようだ
ガチギレと龍はなんとか惨劇を回避した。
安堵で疲れが出てきた
ガチギレ「ふぅ・・・。」
龍「やれやれ、だったな」
(構図:引きのショットで。海の藻屑となったトビヲの群れ。船員たちの救命ボート。ガチギレたち。)
ザザーン、ザザーン
海の音